御曹司社長はイケメンで甘すぎです。

二人が部屋に入ってすでに一時間以上が経っている。

すると、カチャッとドアが開く音がして、颯真さんとお義父様が部屋から出て来た。

萌絵は大好きなパパと、お爺ちゃんに向かって走り出した。


「パパ~、じいじい~」


二人は同じように目じりを下げて、萌絵に手を広げる。
やはり、この親子は似ている。




その日の夜

颯真さんはベッドで本を読んでいたが、パタンと本を閉じると、静かに口を開いた。


「今日、父さんとこれからの会社経営について話をしてきたよ、父さんは病気に関係なく、俺にサンアンドムーンを譲りたいと言っているんだ。」


「そうなんですか…私には颯真さんの世界のことは分かりません。でもお父さんは颯真さんに継いでもらいたいのだと思いますよ…もしかしたら…楽になりたいのかも知れませんね。」

経営については、全く分からない私だけれど、颯真さんの近くに居て、社長としての責任や背負う物の重さは大変なものがあると感じていた。


「萌絵、そうかも知れないな…いつも俺は忙しくしていて悪いな…もし、サンアンドムーンを継ぐことになれば、もっと萌絵に寂しい思いをさせりかも知れない…」


私はベッドから起き上がり、颯真さんをまっすぐ見た。


「颯真さん、私はこれまで寂しいなんて一度も思ったことはありませんよ。結婚の挨拶の時に母から言われたことを、忘れてないからです。…颯真さんを信じると決めたら、何があっても信じ通すと約束したんです。だから颯真さんを信じているから、寂しくありません。」


すると、颯真さんはクスクスと笑いながら、私の頭をいつものようにポンポンと叩いた。


「俺の奥さんは、強くて、優しくて、ちょっと恐くて…でも堪らなく可愛いな…」




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