【コミカライズ】婚約破棄、したいです!〜大好きな王子様の幸せのために、見事フラれてみせましょう〜
「よし。これで、まさかセラフィナに手を出そうとする奴も居まい。こうやってきちんと主張することも出来ずに、俺がどれだけしんどかったか……わかるか? セラフィナ?」

 真っ赤になってしまったセラフィナを抱き上げたまま、ラドクリフは会場の出入り口に向かいこの場所を出ようとする。

「らっ……ラドクリフ様。何処に行くんですか?」

「ん? 勿論、俺の私邸だ。兄上が王として即位されれば、俺も臣下として公爵位を賜るからな。それに先駆けて、王都近くに邸を貰った。セラフィナの好みに改装しているはずなんだが、もし気に入らなければ、また改装しよう」

(誰が、私の好み教えたのって……一人しかいないけど! ジェラルドー! 今まで、何も言わないで! 覚えてなさいよ!)

「ままま、待ってください。私、まだその……心の準備が……色々と……出来てなくて……」

 どうにかして、彼の逞しい腕から逃れようとするが、鍛えられている彼は特に力を入れた様子もなく軽くセラフィナの動きを止めた。そして、にっこりと美々しい笑顔で言った。

「大丈夫だ。セラフィナの父上であるサフィナー公爵からも、きちんと滞在する許可は頂いているし、さっき言った通り父も兄もセラフィナであれば別に問題ないから、結婚を進めろと仰せだった……子どもは流石に、式が終わってからが良いよな? セラフィナ?」

 大好きで大好きだからこそ、自分は犠牲になっても良いとまで思っていた人からとんでもない提案をされて、セラフィナは心の許容範囲を一気に超えてしまった。

 ふらっと目眩がして、意識は真っ暗になる。



◇◆◇



「……ジェラルド、お前。あの時、セラフィナに、近寄り過ぎだったぞ」

「ラドクリフ殿下。どうか、ご勘弁ください。セラフィナお嬢様は、私の事を何とも思っていないからこその、あの距離感です。逆に殿下が近くにいたら頭の中が真っ白になって、恐らく何も話せなくなってしまうので、徐々に距離を縮めるようにお願いします」

「それで、今まで話しかけても素っ気なかったのか……俺は限界まで、我慢した。大好きだと言う俺の幸せのためなら、何もかもを投げ出すと言う、可愛い女の子を今日までずっと見ていることしか出来なかった。もう、別に我慢しなくて良いだろう。いっぱい触りたいし、誰よりも可愛いと言ってあげたいんだ。セラフィナ、早く起きないかな……ジェラルド。お前、さっさと出て行かないのか?」

「無理です。一応、お嬢様の側仕えですので。文句があるなら、サフィナー公爵までどうぞ。セラフィナお嬢様ご本人が退出しろと言われれば、そりゃ下がりますけど」

「成る程。義父上も、一応は考えられたんだな。なんて事はない。ジェラルドに見られたら、恥ずかしいから下がれって……言わせたら、良いんだな。どうしようか」

「そのとても楽しそうな顔で近付かれたら、また卒倒しますよ」

「婚約者だと言うのに、今まで手を握ることもエスコートする短時間のみで、妄想することしか出来なかったんだぞ。色々と、試してみたいな……セラフィナ、早く起きないかな」

(……いや、起きられませんよね!)


Fin
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