虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜
ありきたりでも、丁寧に作られた料理は美味しい。なにより素材や調味料の質が、私たちが日頃手にしている物とは格段に違う。
それよりも、食事で一番大切なのは、何を食べるかではなくて、誰と食べるかなのかもしれない。
今、カウンターの向こうには九条くんがいる。
そして食事を彩るお話も、真理と九条くんがいるから話題に事欠かなかった。
私は美味しいブレックファストを食べ、楽しい会話に耳を傾け、そして笑った。
こんな楽しい朝食はいつ以来だろう……。
「ねえ、まあ兄」
真理が言った。
「まあ兄、ここに一人で住んでるの?」
「うん、訳ありでね」
九条くんは苦笑いを浮かべた。
「でもこれだけ広いと、お掃除とか大変でしょう」
「うん。仕方ないから、ハウスキーパーを頼んでる」
「ふうん、そう」
すると真理は、びっくりするようなことを口にした。
「じゃあさ、理恵を雇わない? なんなら、住込みで」