虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 田村部長は優秀な上司だった。
 その頃の私には、そう映った。

 私は自分の通常業務の他に、過剰発注分の処理について、部長にマンツーマンで指導を受けながら対応した。
 部長の指示は恐ろしいほど的確で、過剰発注分は社内で問題になる前に処理を完了し、逆に会社に利益をもたらした。

 その裏のカラクリを知らなかった私は、部長の手腕に幻惑された。

 田村部長は、よくこう言って私を指導した。

「早川くん。君は知識が豊富で判断も悪くないが、少々考えすぎているきらいがあるな。だからあんなケアレスミスをするんだ」

 発注ミスを持ち出されると、私は神妙に話を聞くしかない。

「まずは、私の指示通りやってご覧なさい」

 そして私はいつの間にか、部長の指示通り動くだけの、スーツを着たお人形みたいになっていた。

 一線を越えたのは、いつのことだったか。

 いつも頑張っているご褒美にと、田村部長が高級ホテルのフレンチの、コースディナーを予約してくれた。
 美味しい料理と豪華な雰囲気、なによりミスをリカバリーできた嬉しさから、つい気が緩んでワインを過ごしてしまった。

 そして気が付いたとき、私は裸でベッドに寝かされていて、私の上で田村部長が、大きくのしかかるように動いていた。
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