告白までのカウントダウン


畳の中央に立っている私のほうに海先輩は近づいてくる。
また畳に上がる前に一礼すると、私の目の前で止まった。


「わざわざ格技場まで来てもらってすいません」

ペコッと頭を下げ、前を向くと「全然」といいながら優しく微笑んでくれている。

話したいことがあると言って呼び出したのはいいけど、なかなか告白を切り出せない。


「今日を逃すと卒業式まで来る機会ないから。
見納めできてよかった」


はは、と笑う海先輩をみて胸がきゅっとすると同時に、見納めという言葉が寂しくて、込み上げてくる涙を必死に堪える。

今日は三年生が最後に登校する日だ。
明日以降、卒業式までは自由登校になるけど、すでに推薦で大学進学が決まっている海先輩は登校する理由がないので今日が最後の登校日になる。


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