Gentle rain
『美雨ちゃんが来るまで、俺、待っているから。』

そう私に言ってくれた階堂さん。

もしかしたら、もしかしたら……

私たちはお互いを必要としているのかもしれない。

そんな気持ちが、私の心をどこまでも、逸らせた。

だけどあのビルの中に入って、階堂さんの待つエレベーターに乗った時だ。


「ねえ、聞いた?社長の噂。」

「ああ、聞いた聞いた。」

おそらく階堂さんの会社の人だ。



「森川社長のお嬢様と、結婚するんでしょう?」



私は持っていたバッグを、落としそうになった。

何?

何、結婚って……


「でもまだ、式の日取りも決まってないんでしょう?」

「だとしても、すぐよ。得意先のお嬢様よ?」

私が今から、その社長に会うことも知らずに、そのOLさん達は、私にショックを残したまま、エレベーターを去って行った。
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