赤い糸

コスモスが咲く頃、しんちゃんのギプスが取れた。

その足は痩せこけていて、右と左のバランスが悪い。

それでも夏場のギプスはキツかったみたいで、しんちゃんは、喜んでいた。


そういえば、ギプスの中に割り箸を突っ込んでよくかいていた。

汗で痒かったのだろう。
なすすべもなく、考えついたのが、割り箸や長いストローだった。

それで、懸命にかいていた。

みている私は、おかしくて笑っていた。

「何がおかしいねん」としんちゃんは言うが、私にとっては滑稽で面白かった。

しんちゃんも、別に怒っていた訳ではなく、冗談で怒ったふりをしたりしていた。

でも、最後にはいつも2人揃って笑顔だった。

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