再会した幼馴染に溺愛されています。

少しだけ見たけどやっぱり凄く美人で素敵な人だ……。
あんな人に勝てっこない……。


何でだろ、それくらい分かってたんだけど。


涙が止まらない……。
もう枯れるくらい泣いたはずなのに。


二人がその場を去ったのを確認すると私も靴を履き替える。


もう何もかもどうでもいい。


……ただ冬馬が幸せそうだったから、もうそれで良いや。


「あ、あのさ水野……」


「……井出くん。ごめん。誰とも話したくない。」


いつから私の様子を見てたのか、井出くんは心配そうなトーンで声を掛けてくれたけど私はそれどころじゃない。


「……分かった、気をつけて帰れよ。あまり考え過ぎないようにな」


優しい声を掛けてくれる井出くんに私は「うん」としか返せなかった。


井出くんが「今は行かない方が……」って言った意味が分かった。
少しでも私が傷つかないようにしてくれたんだね、ありがとう。


もう私の出る幕なんてないや。


あの時のキスも全部……やっぱり何もかも嘘だったんだね。


期待してごめん。
でもこんなのって……ずるいよ。
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