再会した幼馴染に溺愛されています。

私は走る気力も無くなってトボトボと帰り道を歩く。


この道は何度も冬馬と通った道だけに色んな些細な会話とかが頭に浮かぶ。


そしてもうそんな何気ない冬馬との日常は二度と来ないんだと思うと胸が締め付けられて、目が熱くなる。


冬馬といた時は心地よくすら感じたこの暑さもセミの声も今はひたすら鬱陶しい。


「はあ……」


私はため息をついて空を見上げる。


皮肉にも雲一つない透き通った青空がどこまでも続いていた。


今頃あの二人は何してるんだろう。


約束のショップとやらに行ってるのかな。
良いなあ……。


私は首元に手をやり、あの時貰ったネックレスを外して鞄に投げ入れた。


肌身離さずに付けてた大切な物だけど、もう必要ないよね……。


付けてたらあの娘にも申し訳ないし。


冬馬の事だからあの娘にもキスとかギューとかしてるんだろうな。


本当に小悪魔より酷いよ……。


あんな事されて……あんな笑顔を向けられて夢中にならない人いないよ……。
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