再会した幼馴染に溺愛されています。

「失礼します、滝口 冬馬と言います。よろしくお願いします。」


冬馬は私の案内でリビングに入ると深々と私の家族へ頭を下げる。
さすがに冬馬も緊張してるようでその姿がとても可愛く見える。


「あらー冬馬くんこんなに立派になって……。」


「覚えててくれたんですか?それはありがとうございます。」


お母さんてばいつもと声のトーンが違う。
完璧に猫撫で声というか……。


「秋穂が小さい頃よく遊んでくれてたでしょ?またこうやって会えるなんて……嬉しいわ!」


「お父さん。初めまして。秋穂さんとお付き合いさせて貰ってます。どうかよろしくお願いします!」


冬馬はお母さんに会釈し、お父さんの方を真っ直ぐ見つめてまた頭を下げた。


お父さんは一瞬だけ目を見開いたのが見える。
……絶対に今ドキッとしたよね。


「え?ああ……まあ。座りなさい。」


「はい。その前にこれを受け取ってくれませんか?お口に合うか分からないですが……」


冬馬は流れるように持っていた紙袋をお父さんに手渡した。
こんな緊張する場面でも落ち着いてこなす冬馬はやっぱり男らしいよ。
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