同居人は無口でクールな彼



ごめんねと謝りながら、わたしは急いで翔哉くんを追いかけた。

そして、教室を出るときに聞こえてきた。


「今、野々村さんのこと名前で呼んでた?」

「あの2人って付き合ってるの?」


きっと明日にはクラス中に、わたしたちが付き合っていることが広まるかもしれない。

でも、翔哉くんはそんなこと、ちっとも気にしないんだろうな。


そんなことを考えながら、先生に怒られない程度に廊下を急いだ。

下駄箱のところで、ようやく翔哉くんに追い付いた。


でも、わたしは翔哉くんの名前を呼べなかった。

いつも以上に緊張していて。



「…………」

「…………」


翔哉くんも普段からほとんど話さないから、この日は何の会話もないまま帰宅した。





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