同居人は無口でクールな彼



短い返事は相変わらず。

今日もわたしは半歩後ろを歩く。

いつか翔哉くんの隣を堂々と歩けるようになりたいな。


「翔哉くん、今日は楽しくなかった?」

「…………べつに」


返事はなかなか返ってこなかったけど、楽しくないわけじゃなかったみたい。


「また明日も来てくれる?」


翔哉くんはなにも答えなかった。

でも、一歩前進できた気がした。


「…………どうも」


ふいに、立ち止まった翔哉くん。

でも、何に対しての「どうも」なのか、わからなかった。


「昨日も……それに、今日も」


それだけ言うと、翔哉くんはまた歩き出す。

きっと翔哉くんはこう言いたかったんだと思う。


「昨日も今日も教えてくれて、どうもありがとう」って。

翔哉くんからお礼を言われるのは、はじめてかもしれない。


そして、翔哉くんは明日も明後日も勉強会に参加してくれた。




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