同居人は無口でクールな彼



「灰谷まで。やさしーな、おい」


クラスメイトの言葉に、灰谷くんは苦笑いを浮かべるだけ。

最近の灰谷くんは、クラスメイトと一線を引き始めた。


その理由は分からない。

でも、わたしにはわかった。

灰谷くんは、自分から仲良くなろうとはしていないということを。




「俺が行ってくる。金は?」


少しざわついた教室が、一気に静寂に包まれる。

翔哉くんの言葉はだれにも逆らえない。

お金を預かっていた人が、おそるおそる翔哉くんに封筒を渡していた。


それもそのはず。

翔哉くんの声があまりにも低くて怖かったから。


わたしも驚いた。

翔哉くんが怒っている理由が分からなかったから。



「翔哉くん……!」


その理由を知りたくて、わたしは翔哉くんのあとを追いかけた。




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