同居人は無口でクールな彼



この家族は滅多に外食はしないみたいだし。

翔哉くんは明らかに嫌がっていた。


「その日は特別なの。鈴香ちゃんのお母さんが来る日だから」

「え?帰ってくんの?」

「一時的にね。鈴香ちゃんの様子を見に来たいんじゃないかしら。この前の文化祭も来られなかったから。鈴香ちゃんのお母さんね、見に来たいってずっと言ってたのよ」


それは知らなかった……

お母さんには文化祭のことをラインで伝えていた。


のんちゃんと仲良くなって、みんなで一緒に楽しんだことも――

お母さん、わたしにはあまり言わないけど、心配してくれていたんだなあ。


「何時?」


ちらっとこちらを見た翔哉くん。

最初わたしに聞いているとは思わなくて、答えるのが少し遅れてしまった。




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