同居人は無口でクールな彼
第13章 膨らむ想い
「ええ!お母さんが帰ってくることになった!?」
次の登校日、放課後の部活の時間。
灰谷くんに日曜日の話をした。
案の定驚いていたけど、それ以上に喜んでくれた。
「よかったね、鈴香ちゃん。お母さんとまた暮らせることになって」
「うん……」
ポタッと筆から絵の具が落ちて、キャンパス濁った緑がキャンバスににじんだ。
「鈴香ちゃん、あんまりうれしそうじゃないね」
「え?そんなことないよ」
「でも、かなしそう。篠原くんと離れるのがさみしい?」
さみしくないと言ったら、ウソになる。
でも、それ以上に翔哉くんの態度が全く変わらないことの方がショックだった。
「でも、大丈夫だよ、鈴香ちゃん。篠原くんとは学校でいつでも会えるんだから」
灰谷くんに慰めてもらったけど、わたしの心は晴れないまま。
学校だけでは、今までのように翔哉くんの近くにいられなくなるかもしれないと思ったからかもしれない。