同居人は無口でクールな彼
翔哉くんの声があまりにも近くて、驚いて目を開けると……
翔哉くんが耳元でささやいたのだと気づいた。
今しかないと、無意識のうちに思ったのかもしれない。
わたしは、翔哉くんの服の裾をつかんでいた。
「勘違いじゃない……」
心臓の音が翔哉くんに伝わってしまいそう。
呼吸できているかも分からなかった。
「すず……俺のこと好きなの?」
ここまで来ておいて、わたしは勇気が出なかった。
だから――
「好きかもしれない」
そう答えていた。