同居人は無口でクールな彼
第16章 真の友達



“俺、すずのこと好きかもしれない”


あの言葉は、どういうこと――?

友達として好きってこと?


わたしの“好きかもしれない”という告白も友達としてだと思われてる?

どちらにしても、あの後わたしは何も言えなかった。


翔哉くんは“好きかもしれない”と告げると、すぐに向きを変えて帰ってしまったから。

わたしはただ彼の後ろ姿を見送ることしか出来なかったのだ。


「鈴香ちゃん、どうした?悩み事?」


教室で1人うなだれていると、心配そうに灰谷くんがやって来た。

夏休みと言っても、始まってすぐに講習がある。


進学を希望している人が参加をするから、クラスの半数以上が登校していた。

もちろん、翔哉くんも――


「ねえ、灰谷くん」

「なに?」

「ちょっと」


手招きをすると、灰谷くんが顔を近づけてくる。




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