同居人は無口でクールな彼



「でも、鈴香ちゃんが怒ってくれて、私うれしかったよ」

「だって、本当に腹が立ったし悔しかったんだもん。今思い出してもムカムカしてくる」

「ふふっ、鈴香ちゃんが怒ってる」


わたしが怒ることが珍しいのか、ふんっと鼻を鳴らすとみんなが笑った。

翔哉くんまでもが――


そして、翔哉くんはわたしの頭に手を置いて、優しく笑っていた。


「みんな本当にありがとうね」


昼休みの終わり間近になって、翔哉くんは部活に走った。

きっとギリギリまでわたしたちと一緒にいてくれたんだと思う。


わたしたちが教室に戻ると、教室はシンと静まり返っていた。


そして、のんちゃんの机の上には――

セロハンテープですべてくっつけられていた破れた漫画が置いてあったんだ。




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