同居人は無口でクールな彼



でも、のんちゃんと1番仲良くしていたあの子だけは――

一度ものんちゃんに話しかけてこなかった。


もしかしたら、あの子はさみしかっただけかもしれない。

大好きだったのんちゃんがわたしたちと仲良くし始めて。


自分とは一緒にいてくれなくなったから。


「ねえ、今度どこかに遊びに行かない?」


のんちゃんの提案があるまで、わたしは気づかなかった。

仲良くなってしばらくたつのに、まだ一度もみんなと遊びに出かけたことがなかったということに。


「そう言えば、漫画ばっかりで遊びに行ってなかったなあ」

「でも、のんちゃん。漫画はいいの?」


この前破かれたページももう一度描き直さないといけないのに。

遊んでいる時間なんてあるのかな。




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