同居人は無口でクールな彼
「はい、じゃあ、行くよー。最初はグー、ジャンケン……」
あいこが続いて、勝負は3回目でついた。
しかも、このジャンケンに意味があったのかという結果で……
「わーい!勝利のチョキ!」
ひとり勝ちをしてはしゃぐのんちゃんに、灰谷くんは優しく笑っていた。
結局日曜日に遊びに行く場所は、プールに決定して――
きっと、翔哉くんと灰谷くんの水着姿はのんちゃんの資料として使われることだと予想がついた。
「行先も決まったことだし。帰るぞ、すず」
「あ、うん!」
約束通り、これからも翔哉くんと下校が一緒だ。
すると、灰谷くんは後ろ姿のわたしたちをふいに呼び止めた。
「ずっと思ってたけど、篠原くんって鈴香ちゃんのこと、“すず”って呼んでるよね?俺もそう呼んでいい?」