同居人は無口でクールな彼
「野々村さん、今日の保健委員代わってくれない?今日、どうしても外せない用事が出来ちゃって」
「あの……」
こういうときだけ、わたしに話しかけてくる人たち。
もう慣れてしまったけれど、そのたびにむなしい気持ちが押し寄せる。
でも、さっき聞いてしまったんだ。
この人が、友達と今日遊ぶからと、わたしに仕事を押し付けようとしていること。
「わたし、今日は無理なんです」
断ったのはこの日が初めてだった。
相手もまさかわたしが断ると思っていなかったようで、言葉を失って驚いている。
でも、わたしがこうして断ることができたのは――
きっと、翔哉くんのおかげ。
“言いたいこと言えたじゃん。野々村さん”
そう、翔哉くんがほめてくれたから。
「は?なんで?」