同居人は無口でクールな彼
翔哉くんはどうしてこんな質問をしたんだろう。
「あのね、せっかく同じ班にもなったから、灰谷くんと仲良くなれるかもね、翔哉くん」
わたしは善意で言ったつもりだった。
灰谷くんは誰とでも仲良くなれそうな人だったから。
きっと翔哉くんも彼になら心を開くかもしれないと思った。
それに、翔哉くんにも誰かと友達になって学校を楽しんでもらいたかった。
希美ちゃんと友達になってまだ数日。
こんなわたしだけど、翔哉くんにもこの嬉しい思いを味わってもらいたかった。
「あいつとは死んでも仲良くしたくないね」
翔哉くんがどんな気持ちでこの言葉を言ったかわからない。
「俺は友達なんていらない」
翔哉くんがわたしを追い抜いて2階に上がっていく。
わたしはしばらくその場から動けなかった。
ずっと翔哉くんの言葉が頭の中に残っている。