秘密のノエルージュ

「……彼女?」
「え……いや、違うけど」

 高校卒業まで根っからの野球少年で部活一筋だった大和に、彼女がいたと聞いたことは無い。だから咄嗟に『ついにその時が来たか』と感じた。

 けれど大和は否定する。その一言に、一瞬ドキリと跳ねた菜帆の心臓はすぐに平常の動きを取り戻す。

 そしてすぐに気付いてしまう。クリスマスプレゼントと言っても、渡すのは家族では無いだろう。恐らく大和は『まだ彼女ではない』誰かに片想いをしていて、その人にクリスマスプレゼントを送ろうと考えている。

 それをわざわざ菜帆に相談してくると言うことは。

「まさか、プレゼントに下着買うの?」
「……だめか?」

 聞き返されて『うわぁ』と頭を抱えそうになる。思った通り、大和は想い人に下着を送ろうと考えていたようだ。だからランジェリー好きで、ブランドや価格にも詳しい菜帆に意見を聞こうとしてきたらしい。

 けれど、それにはちょっと同意できない。

「彼女じゃないなら、止めた方がいいと思うなぁ……」

 いくらなんでも、それは気持ち悪いと思われそうだ。付き合ってるわけでもない異性から急に下着を送られたら、普通はビックリすると思う。ううん、ドン引きだと思う。

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