秘密のノエルージュ
今朝の会話の続きをし始めた大和に『もう!』と怒ると、また『ごめんって』と軽い謝罪をしてきた。全然悪いなんて思ってなさそうに。
はぁ、と溜息をつく。
大和に『気になる人がいる』なんて言わなければよかった。一つ年上の先輩はもう四年生で、単位も取り終えて、就活も終えている。彼はもうほとんど大学に顔を出さない。
だから先輩と頻繁に会うことも、まして関係が進展することもない。それもちゃんと説明したはずなのに、大和にはフーンと受け流されてしまった。
もう一度溜息を吐く直前で、大和に『菜帆、今日はバイト?』と別の話題を切り出された。
「うん。でも今日は遅番で、十九時からなんだ」
時刻はまだ十六時。一旦帰宅してバイト先に向かうにしても、まだまだ余裕のある時間だ。
「じゃあ、ちょっと買い物に付き合って」
菜帆と大和の住むマンションの最寄り駅は比較的大規模だ。菜帆のバイト先も駅ビルの中に入る居酒屋だし、よほどマイナーな専門店じゃなければ買い物にも困らない。
何か欲しいものでもあるのかと思って顎を引くと、大和がふっと笑顔になった。
「クリスマスプレゼント買いたいんだ」
その台詞につい『えっ』と大きめの声が出てしまった。そのまま顔を見上げて大和と見つめ合う。