秘密のノエルージュ

 そのまま姿見を覗き込んで、思わず驚く。

「か、可愛い……! 可愛い!」

 鮮やかな赤い色と白いスノーフレークのコントラストに、可愛い以外の語彙力がなくなってしまう。でも可愛いだけじゃなく、機能性にも優れている。3/4カップで前かがみになっても上から胸の全体が見えないという防御力の高さなのに、ボディラインはちゃんとキレイに整う。

「触り心地もいい」

 生地は合成繊維だと思うが、肌触りはなめらかで心地よい。身に着ける前にもっとちゃんと触り心地を堪能しておけばよかった。この状態で布地を触ると、自分の胸を撫でているだけの変態の絵面だ。

「えっと、この上は何着てけば……ああああ、八時になっちゃう……!」

 同じマンションの中での移動だ。共用廊下も屋内なので、そこまで寒くはない。入浴したばかりなので身体は温まっている。だが冷えは万病の元だ。それに相手が大和とはいえ、人の家を訪れるのにあまりに適当な格好もいかがなものだろう。

 どうしようどうしよう、と下着姿で部屋の中をぐるぐる歩き回り。

「よし、ニットワンピにしよう! 被るだけ! 悩む必要もなし!」

 結局悩むことを放棄する。折角のクリスマスなのに服の決め方があまりに雑すぎる。衣服に対する関心が下着にかける情熱の半分以下であることは自覚していたが、もうあれこれ悩んでいる時間もない。

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