偽装夫婦のはずが、ホテル御曹司は溺愛の手を緩めない

 ブライダルパーティーに使用できるホールやレストランは全部で五つあり、今日はそのうちの三つをモデルとして見て回った。

 雰囲気の違う装飾で彩られた会場はそのどれもがきらきらと可愛くて、そのどれもが洗練されたように美しかった。クリスマスに合わせたイベントというだけあって装飾は赤やピンクが多かったが、他の色をメインカラーとした装飾も可能らしい。

「チャペルも素敵です。ステンドグラスがとっても綺麗で、日本じゃないみたいでした」
「そうか」

 ブライダルパーティ会場だけではなく、結婚式を執り行うチャペルも印象的だった。

 バージンロードのいちばん奥にある一面のステンドグラスは、太陽が沈みかけた黄昏の時間帯によく映える壮麗で厳かな佇まいだった。これが日中の時間帯になると光の入り具合でより明るく優美で洗練された印象に、逆に完全に陽が落ちた夜の時間帯になると神秘的で神聖な雰囲気へ様変わりするのだという。

 そんな場所で結婚式を挙げれたら、と想像するとあかりもついわくわくしてしまう。

「じゃあ結婚式はここでいいか?」
「もちろんです」

 浮かれた気持ちでいるところにあっさりとした口調で訊ねられたので、あかりも自然と頷いてしまう。しかしその返答には訊ねた響一の方が驚いたらしく、ベッドの上で半身を起こした響一に意外そうに顔を覗き込まれてしまった。

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