大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
12.もしかして変ですか?*
 とりあえず、今日はこのまま修太郎宅へお泊まりすることになっている日織(ひおり)だ。

 日中は日織がバイトをするために一緒にいられなかった分、夜ぐらいは愛する妻とともに過ごしたいと願った修太郎が、予め藤原夫妻に打診して許可を取っていたのだ。

 これがなかったらきっと、今日羽住(はすみ)酒造への日織の送り迎えを我慢することは不可能だっただろうな、と修太郎自身思っていたりする。


 昼間カフェで佳穂(かほ)に、「保護者同伴みたいな真似をしなくてよかったわね」みたいにからかわれたけれど、正直なところ()の約束がなかったら、幼児が大人から離れて『はじめてのお使い』をする様を大勢のスタップが追いかけて行って皆で見守るテレビ番組さながらに、自分は日織のあとを付けていただろう。

 だけど、さすがに日織は幼児ではない。
 下手な追跡をすればバレてしまうのは目に見えていたし、きっと見付かればかなり怒らせてしまっていただろうことも容易に推察できた。

 日織を家に〝連れ帰る〟ように手はずを整えておいてよかったと、心の底から思った修太郎だ。
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