大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
修太郎(しゅうたろう)さんは……私が他の男性に頭を撫でられたりしても平気ですか?」

 口を開けば吐息が皮膚をかすめるぐらいの至近距離で、日織(ひおり)は大好きな修太郎の眼鏡越しの黒瞳をじっと見つめた。

「平気なわけないでしょう!」

 修太郎はそんな日織の質問に即座にそう返してから、ハッとしたように「まさかあの男に頭を撫でらせたりしたんですかっ!?」と日織を見つめ返してくる。


「――ご、ごめんなさい、一度だけ」

 言ったら修太郎の顔がみるみるうちに歪んだのが分かって、日織は慌てて言葉をつむぐ。

「あのっ! でも嫌だったのでやめてくださいってすぐにお願いしたんです。それで――」

 日織はそこで修太郎におでこをコツンとすり寄せて、

「同じ質問を彼にもしてみたんです。そうしたら――」

 修太郎さんとは全く違うお答えが返ってきてホッとしたのです、と話したら修太郎から「意味がわからないのですが?」と言いたげな視線を送られた。
「もぉ! お分かりにならないのですか? 修太郎(しゅうたろう)さんだけなのですっ! 私をドキドキさせられるのは!」

 日織(ひおり)はそこでストン、とソファから降りると、修太郎にギュッとしがみつく。


「修太郎さん、大好きです! ヤキモチ妬きなところも、私をとことん甘やかしてとろけさせてくださるところも! 全部全部大好きなのですっ! だから――」


 そこで日織は修太郎からほんの少し離れると、目の前の顔をじっと見上げた。


「今日はたくさんたくさん私を甘やかして、修太郎さんに対する〝大好き〟を実感させていただきたいのですっ」

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