大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
「まだ、……何ですか?」

 まだ納得しておられない?

 まだ先程の質問への答えをもらっていない?

 その先に続いたであろういくつかの候補が脳裏に浮かんだけれど、どれも手を止めてまで聞かねばならないことのようには思えなかった。


「僕はね、()()。まだお若い貴女が、いつ同年代の男に心変わりしてしまうんじゃないかと気が気じゃないんです」

 言って、1番敏感な先端を避けるように、胸を包み込んだまま淡い乳輪の(きわ)を人差し指の腹で円を描くようにゆっくりとなぞる。

 最初のうちこそ肩に紐を残したままの下着(ブラ)が邪魔に思えたけれど、鏡越し、日織(ひおり)が動くたび時折チラリと胸の全貌が見えるのがやけに(なまめ)かしくて、視覚的には逆にそそられることに気が付いた。 


「僕が嫉妬深い男だと言うのは、日織さんもご存知だったはずだ」

 そこで一旦言葉を止めると、修太郎は鏡越しの日織の視線を背後からひたと(とら)えて(のが)さない。

「――なのに、そんな僕の前で男と2人きり? それも僕の預かり知らぬところでもずっとそばにいらした? ――そんなことをなさっておいて……ご自分が意地悪じゃないとおっしゃられる意味が、僕にはさっぱり分かりません」
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