ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました


『これだけ探しても見つからないなんて、やっぱり聞き違いか』

三上の報告を受けて焦った友哉は、高校時代にまで遡って調べる対象を広げた。
だが航大にはどんなに叩いてもまったく埃がないのだ。

『身辺整理をしたくらい、不自然なほど綺麗だな』

彼は仕事が最優先だと言って、親や取引先が見合い話を持ち掛けても全て断っていたらしい。

(この状況で、どうやって恋人と付き合ってたんだ?)

航大の清廉な暮らしぶりを知った友哉は、ひと晩だけの付き合いまで入れたら何人名乗り出るかわからない我が身を反省する結果になってしまった。

(これを教訓に、人生を考えろと航大に言われている気がするな)

そんな時に、三上から連絡があった。

航大のスマートフォンやノートパソコンは事故で粉砕していて履歴を辿るのは困難だったし、なんとかわかった電話番号を調べても女性には辿りつけなかった。
金銭面で証拠が残っていないか、三上は調べていたのだ。

『航大さんのクレジットカードの買い物に、チャイルドシートがありました!』

電話越しにでも、三上がやっと糸口を見つけたと確信しているのが伝わってきた。
友哉はやっと『子ども』がいる確かな証拠に辿り着けたのだ。


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