一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

 それから私は少し考えて自分のスマホを出す。

「あのさ……遥。さっきの写真送ってほしい」

 遥に言うと、遥は苦笑した。

「まさか氷室の写真をお守り代わりにでもするつもり?」
「……だめかな」

(なんかすごくご利益ありそうじゃない? 見るだけで嬉しくなるし)

「まったく」

 そう言って遥は手早くスマホを操作する。
 すぐに写真が来て、私はその写真をカメラロールに保存した。

(一人で見てる分にはいいよね……? これストーカーみたい?)

 それでも勝手に顔はニヤついた。
 そんな私を見て、遥はため息をつく。

「氷室なんて、そんないいもんじゃないって」
「ねぇねぇ、大学時代、鷹也さんってどんな感じだった?」

 私が身を乗り出して聞くと、遥はため息をつく。

「研究者としては私より断然優秀だったけど……人を寄せ付けない雰囲気で、冷たい感じだったし。告白する女子たちをこっぴどく振ってたし」

 私は写真の中の鷹也さんを見た。
 確かに、険しい顔をしているけど……やっぱりすごくかっこいい。

 思わず写真の中の鷹也さんの顔に触れる。

「でも、顔すっごくかっこいいよね。こんな漫画みたいな王子様がいたら大学生活楽しいだろうな。私、女子大だったから憧れる」
「かっこいい? 王子様? 製薬界の王子とか言われてたけど……正直、何考えてるかわからないし、腹黒そうよ。私はキャンキャン鳴いて懐いてくれる子犬タイプが好き」
「確かに遥の彼氏って、遥に懐いているイメージある。鷹也さんも付き合ってみたらすごく懐くタイプかもしれないよ?」

 私が笑うと、遥は、ありえない! と叫んで笑っていた。
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