一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「この顔、だった?」
「……この顔……だった」
―――そこに映っているのは、確かに、ローマで出会った鷹也さんだ。
顔がローマで会った時よりかなり険しい。
しかし、正直、かなり格好いい。この時、私と同い年か年下……。
若い時の鷹也さんなんて、なんだかすごく新鮮だ。
私は写真の中の鷹也さんにくぎ付けになっていた。
「……じゃあ、やっぱり本物なのか」
遥がつぶやき、私は息を吐く。
「びっくりしたよぉ」
「びっくりしたのはこっちよ! 考えてみればヒムロ・ヨーロッパホールディングスの社長に就任したって聞いてたわ。スイスじゃなくて、ローマだったんだ」
「そ、そうなの……? もう社長……?」
「そうだよ。っていうか、同じ製薬会社の情報でしょ。なんで知らないの?」
「私、経営には口も手も出してないし。出すつもりもないし……」
「政略結婚して子ども作るんだもんねぇ」
遥はそう言ってつまみのチーズを口に放り込んだ。
本当に私は経営に関することは私は全くタッチしていない。
―――だって私の役目は経営に関することなんかじゃない。
「そう。私、言われた人と結婚して子ども作って育てればいいだけだし」
私がさらりと言うと、遥が顔をしかめる。
「それが政略結婚の最大の目的だもんね……」
「私にしかできないことだから、ちゃんとやるよ。毎年そう言う検査も何回も受けてる」
「そっか」
遥は息を吐く。「あんたもそう見えて苦労してるんだよね。自由に恋愛もできないなんて」
「別に私にとっては不幸ってことはないのよ。もともと私、恋する気持ちもあまりない方みたいなの」
私が笑うと、遥は「そんなことないよ」と呟いて、それからまたワインを飲んだ。