一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
 その時、鷹也さんが私の髪を優しく撫でる。

「城内、ほどほどに。彼女はまだこちらに来たばかりだ」
「だからこそです。甘やかしては奥様のためになりません」

 ぴしゃりと城内さんが言う。
 変に甘やかされるよりよっぽどいい。城内さんは信頼できそうだ。

「私……諦めずに頑張ります」

 私が言うと、鷹也さんはまた髪を撫で、目を細めた。
 それから耳元に唇を寄せられ、

「とはいっても、昨日の今日だからね。身体は休めておくように。今日の夜もあるしね」

 そう、耳打ちをされる。
 その言葉に顔を真っ赤にすると、鷹也さんは楽しそうに笑っていた。

(この人は、結構意地悪だ……)

 私がむすっとした顔をして鷹也さんを見ると、突然横にいた城内さんまで

「そうですね、そちらも考慮したスケジュールにいたします」

とはっきり言うものだから、私は言葉を失った。
< 45 / 108 >

この作品をシェア

pagetop