一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
 ローマに強制送還されると、

「俺が、沙穂のことどれだけ探したと思ってるんだ」
「たった一週間で見つけたくせにっ」
「一週間も、だ」

 ベッドの上に、少し乱暴に置かれる。

「俺のそばにいることが沙穂の役割だ。沙穂の全てを知ってるのはこれまでも、これからも俺だけだ」

 鷹也さんがのしかかり、私の目を見てそのまま唇をなぞって口づけられると私は目をぎゅうっと瞑った。

 頬を撫でられ、それから急にキスの感触がなくなって、そっと目を開けた。
 すると、怒った目をした鷹也さんと目が合う。

「そんなに嫌か」
「ちがっ……」
「いつもなら沙穂が恥ずかしがって目を瞑っていたのも容認してたけど、今日は目を瞑ることは許さない。沙穂の夫が俺だと、触れるのは全部俺だけだと刻み込んでおけ」

 厳しい口調で告げられる。
 わかってる。私も鷹也さんにしか触れられたくない。

 その夜、いつもより強く、激しく抱かれて、私はこれまで以上の気持ちよさとその分の切なさを感じていた。
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