一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
パーティーが終わって、私たちは会社の車で城内さんに送ってもらう。
「あ、あの……本当によかったんですか。フェミル製薬は大きな会社だし、あんなこと……」
私が呟くように言うと、鷹也さんは低い声で答える。
「あの時は抑えたけど、これでも沙穂にも少し怒ってる。大事なことを俺に一番に相談しなかったこと」
「それは……ご、ごめんなさい」
「あと、勝手に出て行ったこと」
「ごめんなさい」
(すごく責められてる……)
「しっかり反省してください」
運転席から城内さんが冷たく言い放つ。
城内さんまで鷹也さんの味方だ。
泣きそうになったところで、鷹也さんは私の顔を覗き込んだ。
「俺のこと、信用できない? 何考えてるかわからないから」
(あの時の言葉……逆手にとって……)
鷹也さんは結構意地悪だということも、この件で知った。
時々、口が悪いことも……。
「ご、ごめんなさいっ」
私が頭を膝につくくらい下げると、鷹也さんは、ふっと息を吐く。
そして私の頭をポンポンと軽く叩いた。
「まぁ……俺はキミの性格を利用して結婚したんだからおあいこでもあるけど」
「ごめんなさ……? え? 利用?」
もう一度謝ろうとして、謝る案件でないことに気づく。
思わず鷹也さんを見上げると、鷹也さんは目を細めて笑った。
「あぁ。ねじ込んで見合い相手を俺にすれば、沙穂は拒否しない。沙穂のそういう素直なところを俺は利用して沙穂と結婚したってこと。俺はチャンスが目の前に転がり込んできたとき、もうそのチャンスを逃す気がなかったからな」
鷹也さんは意地悪な目を私に向ける。
そして口端を上げた。
「さて……じゃ、沙穂の思っていたことも不安なことも全部、今夜、沙穂の口から聞かせてもらおうか?」