ばいばいって言えるまで
全部全部幸せだった。私はこの人と結婚するだろう。とそう思っていた。

それ程大好きだったし、付き合った年数が長い分捧げていたものも大きかった。


でもいつからだったかな。


一緒にしていたことが減っていったのは、
ひとりですることが多くなったのは、
揉めることが多くなったのは、
嫌悪な空気になることが多くなったのは、


多分、同棲を初めて半年ほど経つくらいだったと思う。



彼の帰りが遅くなったのが発端だったように思う。遅くても20時には帰ってきていたのに、深夜になることが増えた。

0時の時もあれば、2時近くになることも数多くあって、帰ってきた時の顔はいつも不機嫌そうでとても疲れていた。


ずっと「人付き合い」と言われていて何も言えなかったけれど、見るに耐えなくなった私はある日その話題に触れた。



「もう少し早く帰ってこられない…?」
「無理だよ」

「さすがに遅すぎるよ」
「人付き合いだから」

とまた同じようなことを返された私だけど、その日は引き下がらなかった。
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