second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結


モニターに画像が映し出されると、集中力を研ぎ澄ましながら読影をする。


『Ao(大動脈)の位置、ちょっと右寄り・・か。』


確かにひとりで読影して診断するのは難しいこの症例。
循環器専門医ではない産婦人科医師がこの画像で異常がありそうと読み取ることができることに驚かずにはいられない。

もし奥野さんがこの異常所見を見逃したまま、分娩に至り、出生後に異常に気がついたら、一から異常の原因を探らなければいけない

それはつまり、治療を始めることが遅れてしまうということ


『お疲れ様でした。今日の検査の結果はもう少し詳しく診てから、奥野先生からお伝えして頂こうと思っています。』


でも、出生前に異常を把握しておけば、産婦人科とNICU(新生児集中治療室)の間でいち早く連携を取りながら、事前に治療の準備をしておくことができ、出生後すぐに治療開始を早く行うことができる


「急遽、引き受けてくれてありがとう。」

『いいえ。丁度、手が空いていましたから。』


まさに周産期センターで俺がやりたいことが、既に今、ここで始まっている

“押す”でも“引く”でもない“同じ歩調で進む”ということが・・・


「転院・・・してもらう?小児循環器、小児心臓外科のちゃんとしていて、この症例に適切に対応できるちゃんとした産婦人科医師がいるという3つが揃っている病院に・・・」

『その必要はないでしょう?』

「なんで?」

『だっているでしょ?適切に対応できる産婦人科医師。』


難しい症例でも、同じ歩調で、見て、聞いて、考えて、時には悩んで
奥野さんと俺はそういうこともできるんだ
日詠医師夫妻、そして、臨床心理士の志賀さんという新しい仲間達とともに・・


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