second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
それが手に取るように理解できてしまった俺に芽生えた感情
・・・鈍感年下男である日詠さんへの嫉妬
そして
・・・一方通行な恋を選んでいる年上女奥野さんへの同情
行きずりで知らない女に拾われているような、どうしようもない男を想い続ける意味がわからない
しかも、俺達後輩男子学生からしたら、奥野さんにはダメ男をバッサリ斬る、カッコイイ女のままでいてほしいんだと思う
“こんな男、やめておいたほうがいい”
いつもは他人なんてどうでもいい自分なのに、喉元までその言葉が出かかっていた俺。
けれども、奥野さんにとっては、俺はただの、カフェテリアで居合わせただけの学生という存在。
それに囚われすぎていた俺は彼女にその言葉をかけないうちに
「奥野さん、何か言いかけませんでした?」
「・・なんでもない。お互いに午後の講義、遅れるわよ。もう行こ。」
彼女は日詠さんとともにこの場から立ち去ってしまった。
その後味が悪すぎて、一緒にクリスマス過ごそうという同学年の女子学生の誘いを“用事があるからごメンなさい”と俺は断ってしまった。
結果、その年のクリスマスイヴは彼女いない男子が集まって酒盛りしていた
という苦い想い出が頭を過った現在の俺。
「橘センセ?大丈夫ですか?」
『大丈夫。で、アレスト(心停止)だっけ?』
「勝手にベビーを重篤化しないでください。呼吸不全とチアノーゼ症状が出ているそうです。」
『ああ・・そうそう。』
「なんか、今日、橘先生変ですよ。」
『変か・・・そうかもね。』
「そういう橘先生は珍しいですけど、でもしっかりしてください!」
ドクターカーに同乗しているベテラン看護師からの厳しい指摘を素直に聞き入れた俺は
『もしもし、こちら名古屋城北総合病院NICUの橘です。あと10分程度でそちらに到着します。ベビーの現在の呼吸数、サチュレーション値、ハートレートを教えて下さい。』
今、自分のすべきことに再度集中し、NICU搬送要請のあった開業医へ向かった。