second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
その後、彼女と俺の距離は俺が考えていた以上に早く縮まる。
そのきっかけは、天気のいい昼休み。
2月のわりには温かい日になっていたので、混雑するカフェテリアではなく、思いっきり背伸びができる病院屋上でサンドイッチを食べることにした俺。
『今日は、あったかいな。クリスマスイヴはあんなに寒かったのに。』
サンドイッチを食べ終わり、腹が満たされた俺はベンチに寝転がって空を眺める。
『なんだか目まぐるしい日々・・・でも、日詠教授夫妻にもお会いできてホントに感動した・・頑張らなきゃな、俺。』
真上に広がる空に向かって手を伸ばして拳をぐっと握る。
目を閉じて浮かぶのは、周産期センターのことを知って驚きながらも笑顔になる奥野さんの姿。
あともう少しでそれが見られるかもしれないと一息をついた俺の耳に聞こえてきた声。
「恋愛よりも仕事って・・・あたしは日詠クンにも言ったじゃない・・・」
自分に言い聞かせるような奥野さんの声。
瞼を閉じている俺は夢でも見ているような感覚。
“恋愛よりも仕事”
周産期センターで彼女と一緒に頑張っていきたいと考えている俺には、心強いと思うべき彼女のその言葉
でも、ココロの裏側では、がっかりしそうな自分がいる
恋愛も、仕事も、どちらも手に入れたい自分だから
彼女が諦めようとしている恋愛
もしその相手が俺なら諦めなくてもいいのに・・・なんて都合のいいことまで思ってしまう
そんな中、聞こえてきた声は
「男は消し去ったか?・・・俺と片手間で付き合う気はないだろうな?」
俺がもっとがっかりさせられる相手である寺川部長だった。
嫌でも目を開けずにはいられない俺。
目を開けて見える視野にはふたりの姿はなく、ベンチから勢い良く起き上がる。
自分がいるベンチは屋上出入口の西側にあって、その声が聞こえてきたのは、出入り口反対側の東側のほう。
彼らの姿を目視できなくて当然の位置に俺はいる。
おそらく、彼らも俺の存在には気がついていない。
だから、聞いてはいけないような会話の内容まで聞こえてきてしまう。
「あたしには付き合っている男はいません。」
「いいね、その言い切れる感じ。俺は雅が俺じゃない男とキスしているところを見て、雅のことが惜しくなっちゃったんだよね・・・しかも、キスの相手が病院イチのモテ男で。」
俺が耳にしたくない現実の話までも・・が。