second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



窓の外を見ると、病院の最寄り駅周辺のライトアップとそれを眺めに集まっている人達が目に入る。

それは同乗していた看護師もそうだったようで。


「このベビーも、十数年後、こうやってクリスマスイルミネーションを見て楽しい時を過ごせるといいですね。」

『・・・そうだな。』


クリスマスイヴという、いつもとはちょっと異なる日なのに
自分のやるべき業務をいつもと変わらず遂行している俺達のささやかな願いを
目の前で必死に闘っているベビーに祈った。



そうやっているうちに、うちの病院が見えてきた。
うちの病院にも、簡素なものではあるが、屋上壁面にLEDライトで彩られたイルミネーションがある。

「うちの病院のイルミ、施設保全課の人が作ってくれているみたいですけど、なかなか凝ってますよね。」

ベビーの状態が悪化していないことをちゃんと押さえてくれているらしい看護師からの言葉。



それに誘導されるように、彼女が口にした病院のイルミに目をやると

『あっ!!!・・・この寒い中・・・』

屋上に、白衣一枚で肩を震わせている女医を見つけた。


多分、電話越しにたった今していた看護師との会話を聞かれたな

ただでさえ、昨日、奥野さんと約束を取り付けた時も
彼女はあまり乗り気じゃなかったんだ


緊急対応をきっかけに、約束を断ってくる可能性もありそうだな
今、この時間にそこに居てほしくなかったその姿を見つけてしまった俺は

『大至急PHS3408を繋いで下さい。』

すぐさま携帯電話を手にとり、病院の電話交換を通じて、PHSを繋いでもらう。

『もしもし、奥野先生?』

電話交換スタッフにPHSをつないでもらっている間に、隣にいる看護師の携帯が鳴った。
それと同時に自分の携帯電話もPHS通話相手に繋がってしまって。

【橘クン、もしかして、そこに乗ってるベビーまだ産まれていない?だから、あたしにコールしてくれたの?】


そうきたか・・
さっき約束の話、したのにな
PHSへのコール イコール 業務に関する連絡
確かに医師として間違っていない

そういう医師としての立場を
いつ何時も忘れずに持ち続けている彼女を
改めて尊敬せずにはいられない

でも、せめて俺との約束ぐらいは
1%でもいいから気にかけて欲しいとこなんだけどな

これはイチから説明しないといけない案件だ


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