second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
彼女はぜんざいで腹を満たされても、伊勢うどんは別腹だったようで、それも美味しそうに食べてくれた。
彼女のその食べっぷりもやっぱり好きだなと思わずにはいられなかった。
その後、神宮外宮への参拝の話も出たけれど、時間がなかったためそれを諦めてレンタル着物を返却するために貸衣装店へ向かう。
俺としては神宮外宮への参拝を諦めたこと以上に、今日の彼女の着物姿があと少しで見納めになることのほうが名残惜しくて、つい彼女へ、着物姿をもっとみていたかったと本音をこぼしてしまった。
「・・・だからもう、何も出ないよ、褒めても。カップ麺1年分とか期待されても・・・」
俺の本音を褒め言葉ととらえてしまう彼女は相変わらず謙虚で。
謙虚なところも素敵だと思う
けれども、どうやったら彼女に俺の本音が伝わるんだろう?
『・・・期待させて・・・欲しい・・・』
この本音はこぼしたんじゃない
゛彼女にとって俺は特別な存在になりたいという期待をさせて欲しい゛
そんな想いがどうにか伝わって欲しい
俺はそう思いながらその言葉を絞り出すように紡いだ。
俺のその言葉を耳にした彼女は一瞬だけ瞳がぐっと揺らいだ。
でもそれはほんの一瞬で。
彼女のその瞳はすぐさま緩くなって俺を捉え、
「えっ?カップ麺1年分?」
とおどけながら俺にそう問いただしてきた。
奥野さんは森村並みに手ごわいな
本音すら受け止めてもらえないなんて
ヘコむを通り越して
もう笑うしかないよな
『・・・ははっ』
「違うの?」
『・・・袋麺1年分・・・のほうがいいです。』
”押し”まくって彼女に自分の想いを理解してもらいたいなんて思っていたのに
難攻不落な彼女にぶつかって返り討ちにあってしまった俺。
そんな俺は今という時、そして帰り道を彼女と一緒に楽しむしかなかった。