恋と旧懐~兎な彼と私~
「愛深が,空が好きだと言ったとき。同じことを思う人間がいたんだって驚いた。変化が怖いから空が好きなんて。母さんが変わっていくのを棒立ちして見てた俺は,いつもそう思いながら空を見上げていたから」

「だから,あの時」



私なんかの気持ちは,そんな大きなものじゃないはずなのに,暁くんは私に自分を重ねていたの?



「そうだよ。かっこ悪いとこ見せて,ごめん」



ない。



「暁くんがかっこ悪かったことなんて,1度もない! 仮にかっこ悪かったとしても,別に普通だよ。謝ることなんか,1個もない!」



どこに気落ちしている人間を怒鳴り付ける人間がいるだろうか。

でも,止まらない,止まれない。

ううん。

止まりたく,ない。
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