恋と旧懐~兎な彼と私~
ーガラガラガラ



「失礼し……あ」



何故か転校生は私を見て,言葉を止める。

なにか変かな。

私はそわそわと服装をチェックした。

転校生は先生の制止も聞かず,私のところに歩いてくる。



「えっなに,なに」



分からないから,ちょっと怖い。

転校生は私の前まで来ると,ニパッと笑う。



「ねぇ,愛深でしょっ。久しぶり! 適当にこの学校に決めて良かった!」



それは学校に失礼じゃ……てか誰。

私は転校生に抱き締められながら,ぐるぐると考える。

転校生の重みに耐えられず立ち上がると,その人の匂いがふわっとした。

なんか良い匂いなんだけど!?

訳が分からなくて,目に涙が滲んだ。



「おいちょっ」



先生が思わず声をあげると,教室には元気いっぱいの声が響いた。



「天野 慧(あまの けい)です。よろしく」
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