恋と旧懐~兎な彼と私~
そういって転校生は人懐っこい笑みで笑う。

女子ウケは良い。

イケメンの特権だと思う。

男子も,面白がっていて反応は悪くない。

? 天野……慧?

名前を聞いて,あっさり思い出した。



「慧……くん?」

「そうだよ! 愛深っ」



嬉しそうにそういうと,一層強く私を抱き締める。

もう小さい時とは違うのにっ

それより



「慧,う……くるしい」

「あっごめん」



呼び捨ても気にせず,あっさり引き下がって,もう一度ふわりと私を抱き締めた。



「あー。お前らもういいわそれで。で? 青野知り合い?」



以外と適当らしい担任の質問に,私も慧を受け止めながら答える。



「はい。小さい時ご近所さんで」



保育園は違ったけど仲良しで。

ね? と私は落ち着いたらしい慧に声をかけた。



「…んっ,ひゃぁ?!」

「ちょっお前それはまじ」



焦った声の先生と,ざわめく教室。

特に男子の視線を感じた気がする。


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