恋と旧懐~兎な彼と私~
「女…の子?」



お店の人はひどく驚いた顔で私を見て,私はさらにおろおろする。



「初めまして,青野 愛深といいます。突然来ちゃってすみません」

「愛深,そうゆうのいいから。ここ座りな」

「お前自分の家みたいに……俺はてっきりクリスマスに寂しく弘ちゃんでも連れてきたのかと。ったく人の店をデートに使うな」

「デッ!?」

「愛深,気にしないで」

「う,うん」



否定しなくて良いのかな。

この店,弘も知ってるんだ。

何から言えばいいのか分からなくて,結局私は何も言わない。

暁くんは1人マイペースに,カウンターの上にベーグルを並べていた。



「矢島のおっさん。ナイフ貸して」

「だから……へいへい。取り敢えずそのおっさんっての止めろ」

「矢島のおっさん,早く」

「お前なぁ。ったく仕方ねぇな」

「ははっ」



どういう関係なのかは分からないけど,いつもより暁くんが楽しそうな気がした。
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