義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
「付き合うって何…?」
「またその話?」
大学の友達、七海ちゃんに質問する。呆れたような視線を受けるくらいにいつも訊いている質問だ。
「同じ屋根の下にいて、なんで進展ないかねぇ。キスくらいは?」
「…………」
「……してないのか。」
「……………うん。」
「手は繋ぐ?」
「それはたまに。」
「………駆くんって女の子?」
「いや、れっきとした男の子です。」
私に魅力がないんでしょうか。
と、悩む人がいると聞いたことはある。
まさか自分がそんな状況下になるなんて、これっぽっちも想像してなかった。
「……ははは…」
「まあ、この悩みは今に始まったことじゃないもんね。」
そう。割とずっと。特に20歳越えてからは気にしてる。
(駆くんのことだから、卒業したら、とか考えてそう。)
気づかないわけじゃない。本当に大事にされてる。
「アピールしてるんだよ?しっかり」
「行動じゃなくて言葉で言わないと。」
「………ごもっとも…」
リップクリーム塗って唇をプルプルにしてみても意味ない。見つめると良いって聞いて見つめたけど、『俺の顔何かついてる?』と能天気なお言葉が帰ってきた。
「………言葉で…かぁ…。」
ハードル高いな。付き合いたての頃は割と頑張って気持ち伝えていたのに。
「退化してる気がする」
「……じゃあ、今日の夜頑張って進化しよう」
「?」
「午後、空きコマよね?」
「うん? 講義何もない。」
「セクシーなネグリジェで誘惑しよう!」
「っ……」
そのあと、有無を言わさずに七海ちゃんは私を連行した。