義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた

駆side

クラスで頭が良くて、真面目で、密かに男子から人気が高い水樹が妹になった。


どちらかというと姉の方がしっくりくる性格。しっかりしてるし、俺とは大違いだ。


家で顔合わせたら、なんか壁作られてる気がする。別の世界に住むような、そんな扱いをされてる感は否めない。


(……せっかく家族になったんだし、仲良くなりたいんだけどな。)


何を考えてるか、全部表に出るような水樹。嫌がられたままは嫌だし、距離を置かれたままもなんか嫌だ。


せっかくだから。


そう、せっかくだから。


「のんちゃん」

「っ…なに…?」


水樹の母親の真理子さんが『のん』って呼んでるのを聞いて『いい呼び方だな』って思った。響きが可愛いし、なんか家族ならではの呼び方にウキウキする。それに兄貴っぽい気がした。


「明日、一緒に学校行きたい!」

「いっいぃ!一人で行く!」


スクバを持ち上げて逃げるように、ローファーの踵(かかと)部分を踏みながらも気にしない様子で出て行った。


「仲良くなるのってむずいな…」


(割と友達作りとか得意な方なんだけどなぁー。)


そもそもなんで拒絶されてるんだろうか。


思考回路をぐるぐるさせてみてもパッと思い当たる節がない。


「駆くん〜。そろそろ準備しないと遅刻するわよ〜?」

「っ!!もうそんな時間!?ありがとう!!」


真理子さんの声にハッとして学校に行く準備に取り掛かった。





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