愛と呪いは紙一重
(捜査一課なんて、俺にとっては地獄だよ……)

警察組織の中でも花形部署と呼ばれ、警察になる多くの人間が目指す場所が捜査一課である。だが、その捜査一課が取り扱うのは殺人事件などが多い。つまり、怨恨など負の感情が絡んでくる。

「ここか……」

刑事たちが集まる部屋の前に来ると、恵の胸にドシリと重いものがのしかかる。緊張といった可愛らしいものではない。分厚いドアの外に立っていても、どす黒いものが伝わってくる。

「……失礼します」

恵はドアを開けてすぐ、気分が悪くなってしまう。そこに見えたものに心臓が掴まれたような苦しさを覚え、吐き気と眩暈で倒れてしまいそうになるのを何とか堪えた。

「やあ、君が今日から働いてくれる期待のエースくんだね。よろしく!」

パソコンに向かっていた刑事たちが立ち上がり、自己紹介をして握手を求める。恵は何とか笑顔を作りながら、「よろしくお願いします」と言い握手をする。だが、心の中では「この場から逃げ出したい」と思っていた。
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