お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
「ごめんなさいっ・・・」
急にまたひどく泣き始めた咲。
全身を震わせて、自分の体を抱きしめるように小さく体を丸める咲に玲も玲の母も事態の深刻さを実感して心が痛んだ。

「大丈夫だ、咲。大丈夫。」

玲は咲の体を抱きしめる。
その震える背中をさすりながら、大丈夫だと繰り返す。

玲の母はこらえきれずに、声を殺して咲に気づかれないように泣き始めてしまう。

こんなに小さな体で、こんなに弱々しい心で・・・
どれだけ苦しい思いをしたのだろう。
どれだけつらかっただろう。

想像するだけで胸が張り裂けそうだった。
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