好みの彼に弱みを握られていますっ!
「こっ、こんなところで通話するのは非常識ですっ」

 お店の中で周りの目もはばからず、「もしもし?」みたいな真似はしたくない。

 そんなこと、織田(おりた)課長にだって分かっていらっしゃるはずなのに、一体どうしちゃったんですか?


 思いながら織田(おりた)課長を睨み付けたら、ニヤリとされた。


「その通りだよ。いい答えだね、さすが()()春凪(はな)だ。――行っておいで」

 え!?
 どういうこと!?
 もしかして私、試された!?


 ブーッ、ブーッと小刻みに振動する携帯を握りしめたまま。
 呆然と織田(おりた)課長を見詰めていたら、不意に手の中のスマホが静かになった。


 あ、切れちゃった。


「折り返しておいで?」

 言われなくてもそのつもりです!

 キッと織田課長を睨んだらクスッと笑われて。


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